餃子の王将の前でずっと首を傾げているおばさんがいたので「ああ、変な人なんだな」と思いながら視線の先を見るとホワイトボードに「ラタトゥイユの汁そば」と書いてあった。「ああ、変なのは王将のほうか、おばさんに失礼だったな」と申し訳なく思っているとおばさんがラタトゥード（ラタトゥイユ族の殺人武術）の構えを取って周囲を威嚇し始めた。昼休みの時間帯だったので人の流れは多かったが、瞬く間におばさんの周囲から人が引いていった。身の危険を感じたおれは、慌てに慌てて、車体にボブ・サップのバストショットがプリントされた新幹線の十字架を作った。急ごしらえだったがうまくいった。ラタトゥードの中年女性は彼女の存在に気づかずにスマホを見ながら歩いていた若いサラリーマンを捕まえて首をもいだ。サラリーマンは「サンシャイン牧場」という断末魔を上げて絶命した。恐ろしい光景に立ちすくんでいると、傍らからじゅうじゅうという音がした。見ると、アッツアツのガーゴイルに夕立が降り注いでいた。はじめは雨に紛れていて気付かなかったが、ガーゴイルは泣いていた。たしかに泣いていた。「『スーパーロボット大戦』に出たかった。『スーパーロボット大戦』に出たかった。」とわめきだした。すでに1ブロックほど彼方へ行ってしまったラタトゥードの中年女性は通行人の首をもいでは野太い雄叫びを上げている。ガーゴイルは泣き続けていたが通りを歩く誰ひとりとして彼を気に留める者はいなかった。
ツバサ / アンダーグラフ
アクリル板で仕切られた狭いスペースの中で、必死にスマートフォンを覗き込みながら牛丼を貪るサラリーマンたち。これではまるで家畜じゃないか……。おれは半分ほど残っていた牛肉の汚砂（おさ）炒めをかき込み、いそいそと会計を済ませて店を後にした。信号が変わるのを待っている間に店をもう一度振り返る。あまりのおぞましさに、汚砂（おさ）炒めを全部もどしてしまった。嘔吐というのはそんなに悪いものでもない。再び空腹が訪れたが今はそれよりも孤独が欲しい。昼休みの残りの時間で十分間に合いそうだったので、東の森へ向かった。森へ入ってしばらくするとボイルむき海老が採れると言われている洞窟に行き当たった。ボイルむき海老は、広葉樹の生い茂る森の中にある洞窟で原石を採掘することができる。原石のままでは食べることが出来ない。それを清らかな清流に浸し、同じ森の中で取れる皿うどんの木の実の汁ですすぐと我々が普段よく目にするボイルむき海老になるというわけだ。早速、洞窟に入る。洞窟はとても暗かったが同時にたくさんの蛍光灯で照らされていて明るかった。壁や天井は白く真っ平らで、周囲にはたくさんの人が座っていた。だが暗いので顔はわからない。座り込んでいる人の群れの中に、ホルスタインの頭をした司祭がいた。彼または彼女は洞窟の中で唯一明瞭な音声を発していたが、聞き取ることは出来なかった。彼または彼女は音声を発すると同時に反芻してもいたが、それは音声を聞き取ることが出来ない理由にはならない。布団を引っ張られ目を覚ますと、盗人が寝室を出ていくところだった。それが盗人であるということはわかっていたが、面倒だったので追うことはやめ、もう一度眠ることにした。間も無く二度寝ができそうだという頃に、階下から女の叫び声が聞こえた。助けを求めているようだ。仕方がないので階段を降りようとすると、階段のふもとに白い破片が多数散らばっていた。盗人が壁にぶつかったのだろう。全くもってどうでもいい、と思いながら階段を降りると、盗人が涅槃の体勢を取っていた。すかさず殴りかかる。盗人は抵抗しない。女は横で泣いている。おれは盗人を殴打しつづけたが、卑しい笑みを浮かべながら「そういうことだ、そういうことだ」と言いながら白い破片を散らすばかりで、一向に音を上げる様子がない。傍らに居る女の様子を見ると、女と思っていたそれは女ではなく山羊の頭が八つ輪っか状に繋がったものだった。なんだ、山羊頭八連（やぎずはちれん）だったのか。それならば話が違う。彼女または彼女らはきわめて明瞭な音声を発していたが、聞き取ることは出来なかった。彼女または彼女らは音声を発すると同時に反芻してもいたが、それは音声を聞き取ることが出来ない理由にはならない。おれはさめざめと泣いた。体育館シューズを忘れたくらいで、どうしてこんな目に遭わなければならないんだ。
LOVE 2000
二十三世紀。『2001年宇宙の旅』が人類に驚愕と熱狂を与えてから300年。当時の人々は2001年にどんな思いを馳せただろう。実際に2001年を生きた人々は何を思っただろう。2001年。『LOVE 2000』から1年。「愛はどこからやってくるのでしょう」。
一世紀前に＜特異点＞を迎え、「人類の叡智」という言葉はすっかり意味を失った。今この時代は、人工知能がすべての知識を担っている。人工知能こそが叡智である。もはや、人類の知に価値はない。アダムとイヴは知恵の樹の実を食べて善悪を知ったとされるが、この知恵の樹というのはコカインの樹だった、と人工知能が証明した。二十世紀に書かれたとされる聖書『新世紀エヴァンゲリヲン』も、「全てはコカインをやった碇シンジの幻覚だった。そして碇シンジは視聴者そのものだった。」という結末で終わる。人間はラリッているから不完全。人工知能はラリッていないから完全。揺るぎない世界の常識である。
そんな時代でも、答えの出ない問いがあった。「愛はどこからやってくるのでしょう」。
二十二世紀。我々日本人の前に＜ウイルス＞なる脅威が現れてから100年でもある。未知の敵を前に、まだ人類が叡智の象徴であった頃の日本人は様々に足掻いた。ロックダウン。緊急事態宣言。三密。ソーシャルディスタンス。しかし何をしても＜ウイルス＞を駆逐することが出来ない。頭を抱えた政府は、感染拡大に非協力的な態度を取る者に対する罰則の強化を決定した。今思えば、この時が人類のターニングポイントだったのかもしれない。
文献はあまり残っていないので詳しいことはわからないが、＜ウイルス＞が勢力を拡大し始めた最初のころ、日本には失業者が溢れたという。人々が外出・他人との接触を過度に恐れたことで、経済活動が停滞したことが原因らしい。まったく贅沢な話だ。今や一人に一畳あてがわれる人間も珍しいというのに。寝返りをうてば隣人に当たる。肘をぶつけないようにするのが隣人愛、アガペーだ。余談はこのくらいにしておこう。おれたち＜拒絶者 -リジェクター-＞の始祖はこの時代を生きたと言われている。
＜ウイルス＞の感染拡大を抑え込めなかった政府は、入院を拒否する＜感染者＞に懲役刑を課すことを決定した。政府にとって、＜ウイルス＞の封じ込めは人権よりも優先すべき問題だったのだ。しかしこれは政府にとって大誤算だった。
はじめのうちは「入院拒否の収監は人生の終わり」と言われ、懲役刑は感染抑止に一定の効果を示した。しかし、一向に経済は回復しない。失業者は増える一方。ある日、こんな噂が流れる。
「刑務所のメシは意外とウマいらしい」。
＜ウイルス＞の影響でネタが無くなったテレビ局は、インターネットで話題の貧乏メシやコンビニスイーツやプチプラ雑貨を取り上げ続けた。それでもネタが尽きてしまった彼らの取材対象は公的機関以外に無くなってしまったという。中でも視聴率が取れるもの。彼らのない頭を捻って出てきたアイデア。刑務所だ。刑務所の映像を流そう。最初は特番が組まれる程度だったが、徐々にレギュラー化し、ライブカメラが設置されるまでになった。市役所には議会の様子を映すテレビの横に刑務所の様子を映すモニターが置かれた。公立図書館の視聴覚コーナーには刑務所専用の棚が増設された。これは娯楽に費やす金を持たない失業者たちにとっての数少ない娯楽となる。彼らはやがて気付く。
我々が人間らしい暮らしを送るために必要なものはなんだ？ハローワークでも生活保護でもない。
ーーー刑務所だ。刑務所に入るにはどうすればいい？
ーーー感染だ。感染と入院拒否だ。
こうして、都心は感染と入院拒否を目的とした失業者で溢れかえることになった。当時の渋谷のスクランブル交差点の定点カメラの映像から、この事件は＜渦＞と呼ばれることになった。
＜渦＞を受けた日本政府は、態度を改めるのかと思いきや、真逆の方向へ舵を切った。ーーー更なる人権の軽視へ。
ほぼすべての感染者が入院を拒否するおかげで、病床使用率は大幅に改善していった。一人の患者に対して「一室・一医師・六看護師」があてがわれるのが当たり前だったという。これにより、医療機関に対する補助金が大幅にカットされた。一方で、刑務所の環境は劣悪化していった。収容予定人数が収容可能人数を大幅に上回り、＜収監待ち＞が後を絶たない事態となっていた。
かつて日本の大企業のほとんどは東京都内に巨大なビルを構えていたが、＜ウイルス＞の拡大以後、彼らは逃げるように東京のビルを売り払い地方へ拠点を移した。
また、このあたりから全ての外交政策が停止され、事実上の＜鎖国＞がはじまったとも言われている。日本国内にオフィスを構えていた外資系企業は国外退去を余儀なくされた。
その結果、二十二世紀初頭の東京は、廃墟と化した巨大ビル群の谷間に＜収監待ち＞や＜渦＞が跋扈する無法地帯と化した。
この時の日本政府はもはや＜ウイルス＞のことなどどうでもよかったのかもしれない。医療機関・企業・失業者への補助を打ち切ることで得られた財源は、新たな刑務所の建設費用に充てられた。全ての区、公共交通機関の廃止。企業の一斉退去。県境の完全封鎖。かつて栄華を誇った摩天楼は無計画に縫合されていく。まるで膿んだ傷口を縫うように。やがて東京の地表に日の光が届かなくなった。
かくして、＜東京二十三獄＞は完成した。
二十一世紀の東京の人口は約一千四百万人だったと言われているが、＜東京二十三獄＞は受刑者だけで五千万人を超えると言われている。「言われている」としか言えないのは、＜都庁＞や＜霞が関＞はとうの昔に破壊され、統計を行う機関が存在しないからだ。「受刑者だけで」としか言えないのは、獄中結婚・獄中出産が二世三世四世と続き、直接の受刑者とその親族の見分けがつかなくなっているからだ。
そんな世界でなぜおれがこうして滔々と日本の歴史を語ることができるのか。東京の歴史を語ることは＜拒絶者 -リジェクター-＞の一族に与えられた使命だからだ。＜拒絶者 -リジェクター-＞は、二十一世紀に＜ウイルス＞が蔓延し始めた頃、大学入試センター試験の受験中にマスクから鼻が出ていることを咎められたがマスクを上げることへの＜拒絶 -リジェクト-＞を行い、トイレに逃げ込み失格となった四十代男性の末裔であるとされている。＜始祖＞の栄誉を称え、末裔たちは、大学入試センター試験が受験可能となる17歳までの間に東京の歴史を教え込まれ、＜始祖＞が＜拒絶 -リジェクト-＞を行なった40代となるまでの間に後継者へ東京の歴史を語り継ぐという伝統を守り続けてきた。そして、後継者にすべてを託した＜拒絶者 -リジェクター-＞は、後継の歴史観を歪めないために、＜東京二十三獄＞を出る。これは、トイレに逃げ込んだ＜始祖＞の再現の意味合いもある。本来、本人の意思如何に関わらず、＜東京二十三獄＞を出ることができる者はいない。ここに生まれた者たちは皆ここで死ぬ。しかし、歴史を語る一族＜拒絶者 -リジェクター-＞たちは、かつて人間が人間であった歴史を語り、＜東京二十三獄＞ではないどこかに出ていくことで、獄中の皆に対して、「我々は、生まれ、死んでゆく人間という存在、人間なのだ」ということを示す使命を負っているのだ。
いよいよ＜東京二十三獄＞を出る日が来た。後継の＜拒絶者 -リジェクター-＞から、『LOVE 2000』のMDとMDプレーヤーを託される。＜八王子＞の監獄長に連れられ、県境のゲートに向かう。恐怖も不安もない。おれは＜拒絶者 -リジェクター-＞だ。
愛はどこからやってくるのでしょう 自分の胸に問いかけた
ニセモノなんか興味はないの ホントだけを見つめたい
おれは人間だ。
富士山のモノクロ写真を眺めていたら、虫歯が治った
最近、通勤時間にラジオを聴いている。「上坂すみれの♡（はーと）をつければかわいかろう」が聴きたくなってラジオのアプリを入れたのだが、無料で聴くことができなくなってしまっていた。東京のラジオなので、大阪で聴くためには有料会員になる必要があるらしい。この国は東京以外の人間に厳しすぎる。転職活動も、「東京に行きたくない」と行った途端に選択肢が狭まる。おれは東京を許さない。東京そのものにいかほどの価値があるのか？「東京に行く」というプロセスに酔っているだけではないのか。radikoの有料アカウントは月額350円だが、おれは有料会員にはならない。月に350円というのは別に高い金額ではないが、「どうせおれは登録していることを忘れて死ぬまで解約せずに月350円を支払い続けるのだろうな、どうせおれはそういう人間だ、そしてどうせ、パスワードは英数字混在でかつ大文字が含まれていなければならないとか記号が含まれていなければならないとか定期的に変更しなければならないとか言われるのだろう、おれはもうこれ以上新しいパスワードを覚えることが出来ない。管理することが出来ない。パスワードを忘れてしまって困るのが目に見えている。パスワードを忘れて、そのままおれは一生350円を払い続けるのだ。わかっている。ひとりにしてくれ・・・。」と思ってしんどくなってしまったからだ。パスワードというのはそもそもおれを守るためのものではなかったか。だが今おれは間違いなくパスワードに苦しめられている。助けてくれ。
「上坂すみれの♡（はーと）をつければかわいかろう」を聴くことができないのは残念だが、思いがけない出会いもある。
昨日聴いていたラジオの話。武田鉄矢が、突如角界から姿を消した大横綱 双葉山の話をしていた。「角界」っていう言い方で合ってるよね？と思って念のために調べたら間違っていなかったので良かったのだが、理由として「相撲を"角力"とも書くことから。」と書かれていて意味がわからなかった。「相撲」を「すもう」読むのも意味がわからないのに、「角力」が「すもう」なわけがないだろ。だったらせめてSMOKINGは「スモウのキング」であれ。「喫煙」ってなんなんだ。どうなっているんだこの世界は。
双葉山は新興宗教「璽宇」への入信をきっかけに土俵から姿を消したという。「璽宇」は天照大神の神懸かりを受けた開祖「璽光尊」を信仰の対象とする新興宗教。敗戦後、「人間宣言」により天皇の神性が否定された日本国内では各地に様々な「生き神」が現れたという。天皇という唯一の神を失った人々は新たな神々に縋った。双葉山もその一人だったのだ。角界の頂点に君臨した彼は土俵の上で「神懸かり」を感じたことがあったのかもしれない。経験や技術を超越した何か。勝敗を分かつ何か。双葉山の勝利を支えた何か。天皇が神であったころは、もしかしたら天皇の顔が浮かんでいたのかもしれない。天皇が神でなくなったその時、璽光尊に出会ったその時、双葉山は何を思い、何を見たのだろうか。
実は、「上坂すみれの♡（はーと）をつければかわいかろう」で、上坂すみれさんが「モロトフカクテル」の話をしていたことがある。実は「上坂すみれの♡（はーと）をつければかわいかろう」が聴きたくなったというのも、最近プレイしているニンテンドースイッチ版のファイナルファンタジーⅦで登場する敵、ダインが「モロトフカクテル」という技を使ってきたからだ。ダインは「Sマイン」という技を使ってくることは覚えていたが、「モロトフカクテル」は覚えていなかった。「上坂すみれの♡（はーと）をつければかわいかろう」で「モロトフカクテル」の話を聴いた時にダインのことは思い出さなかったが、ダインの「モロトフカクテル」を受けた時、おれの心の中にはたしかに上坂すみれさんが現れた。そうなると、年末年始にダウンロード版のファイナルファンタジーⅦのセールが行われていたのも偶然ではないのかもしれない。おれがファイナルファンタジーⅦを買ったことも、「上坂すみれの♡（はーと）をつければかわいかろう」を聴きたくなったことも、大いなる何かによって決定されていたことなのかもしれない。上坂すみれさんといえば、「要らなくなった服をフリマアプリで売っている」という発言があったことも忘れてはならない。これにより、量子物理学において、「フリマアプリで売られている古着は上坂すみれさんの古着ではない状態と、上坂すみれさんの古着であるという状態が共存している」という問題、通称「シュレディンガーの上坂すみれの古着」が議論を呼んだ。だからといって、おれは女性の古着をフリマアプリで買ったりはしない。金を使うことと新しいことを始めるのがとにかく億劫だからだ。
ではおれは双葉山関のように神の存在を感じる経験をしたことがあるかというと全くそうではない。おれはスルメイカを乾燥させる機械のリース営業の仕事をしているが、今週も散々な目に遭った。
北陸のとある漁村で水産加工業を営む会社から問い合わせがあり現地に向かった。予想していた通り、「会社」とはいうものの、社長がご主人、副社長が奥さんという、最もミニマルな経営体制だ。名刺交換をして着席するやいなや、社長が口を開く。「御社だけではなく他に何社も問い合わせをしています。本当に困っているんです。」あまり期待出来ないなと思いつつ、詳しい話を聞いてみる。悪い予感というのはどうしてこんなにも当たってしまうのだろう。この社長は、最初からスルメイカを乾燥させることなど考えていなかった。
全世界を襲う海洋の糖水化はこの小さな漁村も例外扱いしなかった。頭が禿げ上がり背骨が曲がったこの社長は、大量に発生したチョコレートカワハギをどうにか売り物にできないかと考え、スルメイカを乾燥させる機械に思い当たったらしい。ああ、憂鬱な仕事だ。チョコレートカワハギの干物は確かに高級品だ。高級であるのには理由がある。チョコレートカワハギの分泌液は粘度が高く、とにかく乾燥しづらい。一般的な干物の作り方では、完全な干物になるまでに10年かかると言われている。大抵は乾燥しきる前にカビや虫にやられてしまう。ちょっとやそっとで干物にできる代物ではないのだ。おれが勤める会社で取り扱う乾燥機は吊り下げ回転型しかない。チョコレートカワハギは吊り下げ回転型の乾燥機では干物にできない。カワハギ本体がいつまでたっても乾燥しないまま、分泌液が飛び散り、そこら一帯が人間の住みかでなくなってしまうだけだ。おれは、「リースの契約が多く機械の空きがありません。イカを乾燥させるお客様と優先的に契約させていただくだけでもいっぱいいっぱいで、イカの乾燥以外のお客様と契約できる余地がありません」と言い、商談を終えた。そもそもイカが絶滅したこの世界でどうしてスルメイカを乾燥させる機械のリース業が成り立つのだろうか、という疑問が浮かんだが、その疑問は社長にノベルティを渡そうとしてビジネスバッグをまさぐっている間に霧散した。商談のお礼としてゲームボーイ版の「Sa•Ga2 秘宝伝説」を渡すつもりだったのだが、事務所に忘れてきたことに気が付いたのだ。仕方がないので乗ってきたBMWを社長にプレゼントした。
帰り道は漁村から3時間歩いたところにある駅から電車に乗った。各駅停車しか走っていない路線だったが、満足だった。おれはBMWより各駅停車が好きだ。ゴルフに似ているから。
転職検討中の三十路手前のサラリーマンがインターネットで簡単にできる副業について真剣に調べてわかったたったひとつのこと
きっかけは一冊の電子書籍だった……。
〜前回までのあらすじ〜
ついに転職活動を始めた三十路手前のサラリーマン。転職サイト経由で日々届くオファー内容をチェックしては、最先端キャリア勢の殺人的なまでの鋭利な横文字に打ちのめされる日々。しかし、「このままでは何もせず終わってしまう」と、意を決して転職エージェントと面談をすることに。
面談当日。「おれがコンサルに…？外資系企業に…？」
ーーー困惑しながら、面談は終盤を迎える。このままでは、自分の思いを何も伝えないまま面談が終わってしまう。またおれは、何も言わずに…！
「おれ、本当は東京に引っ越したくない…！」
ついに自分の思いを口にしたエキメッキ。微笑むエージェント。
面談をした日の夜はめちゃくちゃ酒を飲んで、翌日は二日酔いでまったく仕事にならなかった。
それから2週間。エージェントから連絡が来ることはなかった。
長年履き続けたユニクロのボクサーパンツの金玉の部分が信じられないくらい擦り切れてスケスケになっているのに気が付き嫁と二人で爆笑するなどして細々と暮らしていたある日、一冊の電子書籍に出会う。
"サラリーマンでも週末の空き時間で簡単に稼げる副業の本"（仮名）
「転職がダメなら・・・そうだ、インターネットで楽に稼げる副業だ。」
こうして、エキメッキはインターネットの大海原に向かって、ひとり船を漕ぎ出すのであった。
こんにちは。エキメッキです。
この記事はおれが本気で「インターネットでできる副業」について調べたその記録である。
本編に入る前にいくつか注意事項を記載しておく。
・この記事は、この記事に登場するあらゆるものについてのおれ個人の感想である。同調や批判や意見は一切求めていない。
・インターネットには色々なむずかしさがあることを考慮し、登場するすべての固有名詞は仮名にした。
・画像についても同様に、インターネットには色々なむずかしさがあるということを考慮し、むずかしそうな部分についてはモザイクをかけた。iPhoneの無料アプリを使用し、指でなぞってモザイクをかけたので、多少ズレちゃっているところがあるがご容赦いただきたい。
それでは、本編に戻る。
「インターネットでお金が稼ぐってどういうことなんだ？」
世の中にはYouTubeやブログでひと財産を築いている人たちが溢れている。アクセス数が増えれば増えるだけお金が入るというが…一体、何故？どうやって？さっぱりわからない。
わからない分野のことはまず本を読もう。時代が変わってもセオリーは変わらない。温故知新。まずは文献探しだ。
とりあえずは無料でいいか…。
Kindle Unlimitedのラインナップからめぼしい本を探す。無料のやつを読んでみて、興味が具体的になったらちゃんとした本を買おう。まったく、良い時代になったもんだ。
良さそうなのがあったぞ。
「"サラリーマンでも週末の空き時間で簡単に稼げる副業の本"（仮名）」
なるほど。
Kindleストアにラインナップされているわけだから、少なからずAmazonの審査は入っているだろうし、そんなにおかしな本じゃないだろう…。自己啓発本なんて大体しょうもないし…。まあ、無料だしダメならダメでそれはいい。
早速ダウンロードする。
平均読了時間:30分以内
だいぶカジュアルだな。まあ、こんなもんか。中身はないけど、ページ数だけやたら多くて「私、本読んでますよ」アピールが出来る本、そういうのがSNSに向いてるんだよな。おれは今すぐに謝ったほうがいいのでは？
表紙を見る。帯にはこう書かれている。
野放しでも稼げるま
教えます！！
え？なんて？どういう意味？大丈夫なんだろうか…。
ページをめくる。
あなたが本書を読んでいると言うことは、何かしら副業をしたい、本業より稼げるようになりた、そう考えているかと思います。
なんか色々おかしいな…。大丈夫なんだろうか…。
いや、おれはたしかに「本業より稼げるようになりた……。」と思っている。筆者には未来の読者の心の声が聞こえていたのかもしれない。
さらに読み進める。
第一章「無在庫転売について」
アウトーーー！！！！
「Amazonや楽天に出品されている商品を、仕入れる前に自分の商品として出品しましょう。商品が売れてから仕入れましょう。Amazonだと規約違反になる場合があるのでオススメしません。」というようなことが書いてある。
少し上に書いたことを思い出して欲しい。この本はKindle Unlimitedで読み放題。Kindle UnlimitedはAmazonが提供するサービス。Amazonさん、いいんですか？
他にも何箇所か抜粋してみる。
セールのパーセンテージは30%くらいがベストです。
あまりにもパーセンテージが高いと赤字になる可能性が出てきます。
赤字にならないか注意してセール価格を設定しましょう。
スマブラでダメージが蓄積してきたら「パーセントめっちゃヤバい、めっちゃヤバいって」って言う友達いたな。実際には"友達の友達"ぐらいの。元気にしてるかな。
自分で商品画像を作れたらよいのですが、得意な人もいれば不得意な人もいると思われます。
そんな時は外注をしてプロの方に任せてもらいましょう。
もし俺が外注をしてプロの方に任せてもらってきてこられてたとしたら、絶対に認められてたと思うか？（©️かまいたち）
外注絡みの話題の続き。
商品のリサーチをしてもらうとどんな効果が生まれるのでしょうか。
（改ページ）
まずは商品リサーチの手間が省けます。
これは誰でもわかると思われますが一番の効果はプロに任せると必ずヒットする商品を見つけてくれることです。
「まずは」の一文が絶対に要らないし、必ずヒットする商品を見つけてくれるプロがすごすぎる。未来人か？
SNSの外注もオススメしている。
SNSの管理はなぜ信頼できる人に頼まなければいけないのかというと、外注してもらうときにSNSのパスワード情報を渡さないといけないからです。
絶対に売れる商品をリサーチしてくれて、販促用の画像を作ってくれて、SNSのパスワードを渡しても悪さをしないプロを見つけて、君も億万長者になろう！！以上！！！
Kindleストアに戻り、レビューを確認する。
ふーん、なるほどね……。
後半急にどうした？
自分の中の天使と悪魔の戦いで、最後の最後で天使が大逆転したんか？
なんだったんだ、この本は…？
著者の情報を調べてみよう。
著者の名前は「疽穢嶋 詐（そえじま いつわ）」という。
Googleで検索してみるが、Kindleストアのこの本以外何もヒットしない。この著者はこの本以外に著作がないようだ。本人の経歴なども一切出てこない。
疽穢嶋 詐（そえじま いつわ）…。一体何者なのか…。
そういえば…。
巻末にこんなページがあった。
疽穢嶋 詐（そえじま いつわ）への興味が抑えられないおれは、LINEで友達登録をしてみることにした。
上記のURLをタップすると、「副業情報局D.E.L.T.A.」というアカウントの友達追加画面へ誘導された。
友達登録をするとメッセージが送られてきた。
敏腕ネットビジネス講師だという「悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）」のセミナーへの申し込みをぜひお勧めします、とのこと。彼はインターネットで稼ぐ方法を教えているらしい。教え子たちはバリバリに稼いでいるらしい。
いや、それはそれでいいのだが、疽穢嶋 詐（そえじま いつわ）は一体どこへ…？
詐（いつわ）の影を追うべく、URLをタップすると、悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）のLINEアカウントを友達に追加する画面に誘導された。D.E.L.T.A.が講師を斡旋しているという建て付けらしい。
友達登録をすると、またしてもメッセージが送られてきた。
明日21時から、Zoomで緊急WEBセミナーが開催されるらしい。ちょうどいいタイミングで登録したものだ。これは参加しなくては。
明日が楽しみだ。
セミナー当日。
ようやく訪れた真冬の寒さにしみじみと四季の喜びを感じながら帰宅したおれは、急いで、しかし子どもを起こさないように静かに、スーツをハンガーに掛け、寝室をあとにする。脱いだ衣類を洗濯かごに放り込み、シャワーでサッと身体を流したら、追い焚きしたてのアツアツの風呂に浸かる。至福の時間だ。一日の疲れや悩みがすべて溶け出してゆく。冬はこうでないと。風呂場の換気扇からは、妻が作る料理の匂いがしてくる。今日は生姜焼きかな。（我が家は何故かそういう構造になっている。なんで？）ああ、たくさんの小さな幸せ。平凡で最高の日常だ。
風呂から上がる前に風呂掃除をするのがおれの役目だ。火照った身体に一刻も早くビールを注ぎ込みたいところだが、グッとこらえて風呂に洗剤を撒く。あと少し。今日も一日が終わった。おれも嫁も子どもも、お疲れ様。排水口に流れていく泡は、今日という一日の良かったことも悪かったことも区別なく綺麗さっぱり流してしまう。綺麗になった風呂場を眺めながら、今日も一日を無事に終えることができたという安堵に浸る。さあ、晩酌だ。
その日は旧い友人たちとオンラインで飲みながら桃鉄をやる予定があったので、パソコンに向かって乾杯をした。桃鉄が始まる。飛ぶように売れているという評判通りの、すばらしいパーティゲームだ。PCの画面に映る友人たちは阿鼻叫喚の巷である。おれは桃鉄を持っていないので、ビールを片手に、醜いマネーゲームに興じる友人たちを眺めていた。
遊んでいる最中はバカをやる仲間とはいえ、各々れっきとした社会人である。皆、明日も朝から仕事がある。縁もたけなわではあるが、日付が変わるか変わらないかぐらいの時間にお開きとなった。大人になっても変わらないけど、でもおれたちも確実に大人になっていくんだな。楽しい時間のあとの静けさに一抹の寂しさを感じつつ、床についた。
おれは、WEBセミナーに参加しなかった。
カードよりも目先の現金を取りに行った"貧者"が最下位へ転落していく様を観るのが楽しくて仕方がなかったからだ。
おれは、WEBセミナーに参加しなかった。
かなり酔って気持ちよくなり、お金とか将来のことを一切考えたくなかったからだ。
翌日。
LINEに送られてきたWEBセミナーのURLをタップしてみる。
見れるんかい。ほんでZoomちゃうんかい。
「はい、えー、時間になりましたのでスタートします。画面共有しますね…。」と、ちゃうねん。
どういうこと？
セミナー後に送られてきたチャットを読んでみると「セミナー後3日間はアーカイブを配信します」とある。
ああ、そうか、これはアーカイブか。なら観れて当然か。
およそ1時間ほどのセミナーだったようだ。画面をダブルタップすれば10秒スキップが出来る仕様だったので、スキップしつつセミナーの要旨を確認した。
・アフィリエイトで簡単に稼ぐ方法を教えます
・「悪商（わるあきない）グループ」に入会し、教材を購入すれば稼げるようになる
・通常は150万円の教材だが、今なら月額3万円で購入できる
・この教材を購入して実際に稼いでいる人がたくさんいる
だいたいこんな感じ。
なるほど、情報商材を購入して、稼ぐ方法を勉強して、実際に稼いでいこう、ということね。
でもなんで総額表記が月額表記になるんだ？
悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）、大丈夫なのだろうか…。
実績や商材の評判について検索してみる。
検索結果のかなり上位に、情報商材の検証や口コミを取り扱うサイトが表示される。
中には「詐欺師図鑑」といった過激なものもある。
ひとつ見てみる。
「もう詐欺で確定なのですが、」の勢いが好き。
いくつかのサイトを見ていると、ある傾向が見えてきた。
「特定商取引法に基づく表記」があるか、ないか。これが大きな判断基準となっているようだ。
「特定商取引法」は、訪問販売や通信販売などの商取引において業者と消費者の間でのトラブルを防ぐための法律だ。「特定商取引法に基づく表記」は、この法律に基づき、事業者名・所在地・販売方法・支払方法・商品の引渡方法などを明記しなさい、というものだ。
なるほど、たしかにこれは重要な判断基準になりそうだ。
この記事は「もう詐欺で確定なのですが、」のあとめちゃくちゃ長く続く。
「購入者の声」で紹介されている人がサクラだとか、詐欺で集団訴訟を起こされている人の教え子だとか書かれている。結構調べとるやないか。ほんまは好きなんか？
それだけの証拠があるのなら、悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）はもう詐欺で確定なのか…。
残念だが、有用なサイトに出会えたのはよかった。他にもたくさん情報商材の検証記事がアップされていた。
「本サイトがオススメするサービスがあります！詐欺ではありません！ご安心ください！」というページがある。
これは…？いよいよ、"ホンモノ"に出会えるのか？
早速記事を読んでみる。
「特定商取引法に基づく表記」がちゃんとあるからオッケー！サンキュー！
「メッチャ・オカネハイール」というサービスがオススメされている。
事業者の情報などがきちんと記載されており、しかも本社が六本木ヒルズの近くにあるから怪しい会社ではないらしい。
「もう詐欺で確定なのですが、」からの掌返しがすごいな。
「メッチャ・オカネハイール」は、「一日たった数分」「スマホひとつで」「月数十万」稼げるサービスらしい。
一体どういう仕組みなのだろうか。
長いランディングページがあるが、「スマホだけ」「一日たったの数分の作業で」以外の情報がない。
→詳細を知りたい方はLINEで友達登録をしてください！
またこのパターンか…
LINEで友達登録をさせる、しかも数アカウント経由させるというやり方が多いみたいだ。
一応Googleで検索したが「メッチャ・オカネハイール」のランディングページも販売会社のホームページらしきものもヒットしない。
怪しげな口コミサイトばかりがヒットする。どれもこれもレイアウトが崩れていたりコピペらしき文章が散見される。なんというか、人の気配が感じられないサイトばかりだ・・・。
悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）について検証を行なっている別のサイトがあった。
YouTubeなどで邪太夫（じゃだゆう）本人が話している内容、商材購入者の口コミをもとに商材の有用性を検証している。
「特定商取引法に基づく表記」はきちんとあるが、商材の内容には疑問アリ、という結論だった。
表記、あるのかよ。「メッチャ・オカネハイール」のお前、ちゃんと調べろよ！！！！
こちらのサイトも記事数はかなり多い。
またしても、「当サイトがおすすめする商材」があった！
モザイクかけたけど、右上に腕組みしてるおじさんが居るのはバレるな？
オススメしているのは「欧州不敗（マスターヨーロッパ）の上昇↑常勝☆FX攻略ガイド(^_^)」という商材らしい。
欧州の有名銀行に長く勤めて数々の実績を上げている人らしい。今は金融系の会社の役員をしているらしい。
実際に銀行でバリバリやっていた人が「FXで勝てる方法」だというのだから、どうやらいよいよホンモノが見つかったようだ。
「スマホだけ」「一日たった数分の作業で」、「月数十万稼げる」らしい。どっかで聞いたな。
欧州不敗（マスターヨーロッパ）は何冊も書籍を出版しているとのことだったので、書籍について調べた。Amazonでprime対象商品として出品されていた。主にFXに関する内容で、10冊近く本を出しているようだ。レビューも悪くはない。
出版社もきちんと実在する会社だった。検索の第二候補に「○○社 思想」「○○社 宗教」というワードが出てくるが。
ただ、「特定商取引法に基づく表記」の「販売業者」に記載されている会社や、欧州不敗（マスターヨーロッパ）が現在役員を務めているという会社に関する情報が一切出てこない。本人のブログは2012年頃「ブログを移転しました」という記事を最後に更新されていない。（移転後のブログは削除されている。旧ブログだけが残っている状態。）
結局ここも、人の気配が感じられない…。
欧州不敗（マスターヨーロッパ）についてのクチコミサイトのひとつ。
今度はこのサイトのアクセスランキングトップの記事を見てみることにした。
全面にモザイクをかけたけどスーツのおじさんが居るのはやっぱりバレてしまうな。
どうぶつの森のマイデザインに見えてきたな。情報商材の広告だらけの終わっている島を作ろうかな。
今度もFXに関する商材らしい。
講師は「狂田 棘鬼（くるいだ きょっき）」。学歴には「都立大学」とある。こういうとこって普通正式名称を書かない？まあいいや。
彼はよくある教材の「一ヶ月で○万円」「教え子○人が稼いでいます」は嘘だと指摘する。
その商品にかかれている実績をそのまま再現すると、
販売者とその教え子が1ヶ月50万円の資金でトレードを行うと…
たった数十人で世界中のお金を独占することになるのです（笑）
ですよね（笑）
悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）〜！欧州不敗（マスターヨーロッパ）〜！見てるか〜！！！
しかし、彼の教材を買えばなんと90%以上の確率で、FXで利益を上げることが出来るらしい！
世界中のお金を独占することなくして！！！そんなわけがあるか！！！！
よし！！！調べるぞ！！！！！！！！
ホームページチェック！
狂田（くるいだ）が代表を務める会社のホームページがきちんとある！
悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）〜！欧州不敗（マスターヨーロッパ）〜！見てるか〜！！！
flashが終了したら終わってしまいそうな見た目のホームページではあるが・・・
これまでの中では一番しっかりしている・・・・・か？？？？
ん？
"Copyright©️ 2015"
じゃあないんだよ。もう令和なんだよ。
マジでflashとともに終わっていくんじゃないか？
まあ、6フォロワーだったら世界中のお金は独占できないわな。
さっき見に行ったら、フォロワーが11人になっていて、アイコンが花の写真になってた。なんで？
クソッ、ここも駄目か…。
悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）の調査に戻る。
どうやら彼はYouTubeチャンネルも運営しているらしい。どれも再生数は奮っていないが…。
狂田 棘鬼（くるいだ きょっき）もYouTubeに動画を投稿している。YouTubeも集客の手段となっているようだ。
これは「悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）がWEBセミナーで販売していた商材」は詐欺？という動画だ。
わかってきたぞ。
①Aという商材がある
②Aを批判する記事Bがある
③BがCを宣伝する
④Cを批判する記事Dがある
⑤DがEという商材を…以下ループ
こういう構造だ。
おれの読みが正しければ、今回のこの動画は悪商 邪太夫（わるあきない じゃだゆう）を批判し、別の商材を勧めてくるだろう。
動画を観てみる。
オッ、キタキタ
怖すぎかよ。
関西弁の人工音声の博士に、宣伝をさすな〜〜〜！！！！！！！！！！
かなり気持ち悪い関西弁の人工音声を我慢して聞いていると、博士がとあるサービスをおすすめしてきた。
完全無料で、金のなる木らしい。
ビンゴ！！！それを待ってたんだッッッッッ！！！！行くぞーーーーーーーッッッッッッッ！！！！！！！！！
Microsoft Officeの原色！！！！！！！！無料のマンガが作れるソフトで作った微妙なキャラ！！！！！！！！！！！
【コレ界隈あるある】
LINEのスクリーンショットの縦横比がおかしいがち
ウオーーーーーーーーー！！！！！！
次の動画ッッッッ！！！！
オウオウ！ホンマか？
ヨッシャー！わかった！
観たぞ！
何でだよ。マクロを隠す努力をしろ！
これはこの動画の説明文。
これは違うチャンネルの説明文。
なんか似てない？
また違うチャンネル。
ねぇ、似てない？
別の場所にいる"ボスの本体"を倒さんと終わらんやつ！！！！！！了解！！！！！！！！！！！！！！！
はい、次！
○○について知りたい人向けに書かれた記事を読むと○○のことがわかる、ということがよくわかります。これは、「人」と「記事」の関係性を抽象化し「人は何故記事を読むのか？」「記事とは何か？」という問いを提示するアート作品であるとも言えるでしょう。「わかる」とは何か？私たちがわかっていると思っていることは果たして本当にわかっていると言えるのか？私の「わかる」と他者の「わかる」は一致し得るのか？それは「記事」によっていかにして可能になるのか？果たして「わかる」の主体はどこにあるのか？それらの問いの答えは誰にもわかりません。わかりません。そう、我々には何も、わからないのです。「わかる」ことなど何も、ないのです。
次じゃ！！！
有森裕子さんに誠に失礼なんですが、有森裕子さんだけやけにリアル。
次じゃ〜！！！
タップしたら【ココをタップして開く】って言わされた。
「はい、チーズ！・・・・・これvineだよ〜（笑）」みたいなことをすな〜〜〜〜！！！！！！！！！vineはもう無い！！！！！！！！！！！
次ッッッッ！！！！
『スカッとジャパン』は毎週こういうのをやれ。
次ーッッッッ！！！
学歴詐称疑惑のリスク回避はバッチリ！！
って、だれも集まらんのか〜〜〜〜い！！！
次！！！
普通に損してる人居てワロタ。
この人、これ以降はランニングとかの動画をアップしています。頑張れよ！
次来い次！！！
思った〜！
？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？
はい次！！！！！
玄関を開けてこれが居たら、あなたはどうする？？？？？
次！
だからダメなんだってば。
というか君、ドメイン名がすごいな。
東京五輪開催への警鐘？
次だ！！！！
うんうん。そうだよね、
「俺自身が 成約者になる事だ」
"最後の月牙天衝"かて。
「全ての力（信用）を失う」
""最後の月牙天衝""かて！！！！！！！！！
ハイ次の方ー！！
喩え下手くそかよ｡
単語帳に載ってても出ないもんは出ない。人生ってのはそういうもんなんだよ。わかったならさっさと行きな。ココはお前みてぇなガキが居ていいところじゃねぇんだ
次！！！！！
出たー！！！！！！！公式が出してる狂気の科学者が生み出したキメラみたいなサプライ！！！！！！！
みなさんはゲームキューブ版『ファンタシースターオンライン』用に発売されたこのコントローラーを覚えていますか？
ゲームしながらキーボードが打てる！みたいな顔してるけどそれが出来るのはカイリキーだけだからな！！！！！
Switchで使えるなら普通に欲しい！使い道ねぇけど！！！
次いこう！！！！！！
うさんくせ〜〜〜！！！！！！
と思ったら消費者庁の資料！！！！
消費者庁によると、「価値の低い高額な情報商材を購入させられた」という消費者からの問い合わせが年々増加傾向にあるという。特に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅時間の増加により、本業の休業や収入源に悩む人が「在宅で稼げる副業」という売り文句で勧誘され購入してしまうケースが多い。「期間限定」「セミナーに参加したあなただけに」など、心理的に焦らせ正常な判断力を奪おうとする販売手法も散見される。
2020年3月には、虚偽の広告で消費者を勧誘し実態の無い高額な情報商材を販売したとして、4事業者の企業名を公表し注意喚起を行なっている。
皆さんもご注意ください。
今回、インターネットでできる副業について調べてみてわかったたったひとつのこと。
それは………
「楽して稼げる」という甘い話を簡単に信じたら…
…
…
…
…
…
…
…
以上です。
餃子の王将の「2021年版 ぎょうざ倶楽部 お客様感謝キャンペーン」のスタンプを50個集めました
みなさんは「2021年版 ぎょうざ倶楽部 お客様感謝キャンペーン スタンプカード」のスタンプをいくつ集めましたか？
今年の夏から今日までの間に、何回王将に行きましたか？
私のスタンプカードを見てください。
溜まっている。
50個、しっかりと、溜まっている。
「2021年度 ぎょうざ倶楽部 お客様感謝キャンペーン」は、会計金額500円（税込）ごとにひとつ押してもらえるスタンプを集めるイベントだ。
開催期間は2020年7月1日〜から2020年12月13日までと、かなりのロングランだ。
スタンプの数に応じて、様々な景品に交換できる。
〈「2021年版ぎょうざ倶楽部 お客様感謝キャンペーン」交換賞品〉
◆スタンプ5個
「餃子1人前無料券」
◆スタンプ15個
「餃子1人前無料券」と「250円(税込)割引券2枚」
◆スタンプ25個
「ぎょうざ倶楽部会員カード」と「250円(税込)割引券2枚」
◆スタンプ35個
「ぎょうざ倶楽部会員カード」と「250円(税込)割引券2枚」に加え、「餃子柄ショッピングエコバッグ(数量限定)」か「令和二年ロゴ入りラーメン鉢(数量限定)」のいずれか1つ(数量限定)
◆スタンプ50個
「ぎょうざ倶楽部会員カード」と「250円(税込)割引券2枚」に加え、「餃子柄晴雨兼用折りたたみ傘(数量限定)」か「音声目覚まし時計(数量限定)」のいずれか1つ(数量限定)
""ボーダー""はやはり、「ぎょうざ倶楽部会員カード」の有無が決まるスタンプ25個であろう。
今回の""倶楽部""の会員権は2021年いっぱい有効。""2021年をどう生きるか？""を左右する戦いは、7月から始まっていたのである。
おれ自身は「まあ、""ボーダー""に乗ればいいか・・・」ぐらいの気持ちでイベントに参加した。
三十路手前にもなれば、いい加減自分という人間がわかってくる。
おれは""スタンプを50個集められる側""の人間ではない。何かを成し遂げられる人間ではない。7月から12月までの5ヶ月間も継続してひとつの物事をまっとうできるような人間ではないのだ。
今までのおれであれば、夏頃に「もうおれ明日から毎日王将しか行かんｗ」と言っていたに違いない。でももうそんなことは言わない。おれは絶対に途中で投げ出すからだ。最初に大きなことを言いながら、途中から一切王将の話をしなくなって、中途半端に大阪王将に行ったりする。おれはそういう男なのだ。
そんなおれが、5ヶ月間1枚のスタンプカードを肌身離さず持っていた。
夢あふれるマイホームの打ち合わせに行くときも、初めて訪問する取引先に営業に行くときも。
雨の日も、お昼ご飯どきになると、近くに王将がないか探し回った。スタンプが25個を越えても、続けた。
口では「おれはもう何も成し遂げられない」と言いながら、心の奥底にわずかに残っていた「自分を変えたい」という思いが、閉じかけた扉をこじ開けたのかもしれない。
いよいよスタンプカードを交換しようと緊張しながら店内に入ると、レジの前は会計待ちの客で行列していた。店員に声を掛けられる。
「何名様ですか？今カウンター席しか空いてないんですが・・・」
「あっ、いえ、持ち帰りの注文をしたくて・・・」
言えなかった。「景品を交換しに来ました」と言えなかった。
レジが空くまでの間に、もう一度スタンプカードを見る。
レジで会計をしている客はまだスタンプを貰っている。キャンペーンはもう数日しかないというのに。彼らは""スタンプを50個集められない側""の人間だ。せめてボーダーぐらいは越えられると良いな。頑張れよ。
いっぽうでおれは""スタンプを50個集められる側の人間""だ。だが、もともと素質が備わっていたわけではない。変わったんだ。自分を、変えたんだ。
っていうか、親指が気になるな。
手荒れ・ひび割れがひどいんです。深刻に悩んでいます。良いハンドクリームがあったら教えてください。
ついに、スタンプが50個溜まったんだ・・・。
会計金額500円ごとにスタンプ1個だから、単純に計算すると500円×50個=25,000円ということになるが、実際のところ、王将で一食500円台で終わらせることは困難だ。（どのメニューもとても美味しいため、1品しか注文しないなんてことは出来ないから。）
50個のスタンプのほとんどは700円〜800円の昼の定食で構成されているため、実際のところ40,000円弱つぎ込んだことになる。（新型コロナウイルスの懸念もあり、夜は一度も行っていない。）
とはいえ、救済措置もある。だいたい毎月下旬に「スタンプ2倍押し!!キャンペーン」が開催される。このキャンペーンも活用したため、実際は40,000円も使ってないのかもしれない。
スタンプを見返すと色々な思い出が蘇ってくる。
一番行った北浜道修町店では、ほぼ毎回、店舗オリジナルの日替わりの「サービスランチ」770円を注文していた。
忘れられないのが、ある日のメニューだ。
北浜道修町店では、"腹が減ったらとりあえずサービスランチ"と決まっている。その日もろくにメニューを見ずに注文した。
その後、料理が運ばれてきて愕然とした。メニューが書かれたホワイトボードを確認すると･･･
「本日のサービスランチ 卵とじあんかけうどん と 味噌カツ丼 唐揚げ付」
中華料理をやれよ！王将にうどんなんてあったっけ？
量も多すぎる。味噌カツ丼に唐揚げを付けるってどういうこと？
食べ終わったあと、とにかく一刻も早く家に帰ってシャワーを浴びて横になりたいという気持ちになった。その日の仕事は全然捗らなかった。
週3回ペースで王将に行くと、飽きるどころか逆に店舗ごとの個性を楽しめるようになってくる。
一番楽しいのがオリジナルメニュー。やたらカラフルなデザインと、創角ポップ体で書かれたメニュー。もはや中華料理の域を越えたようなメニューも多い。吹田春日店の「プレミアムスタミナラーメン」は是非全店舗へ展開して欲しい・・・。
茶道・華道に続く日本の伝統芸道"王将道"があるとしたら、もてなす側の作法は「オリジナルメニューを用意すること」で、もてなされる側の作法は「グランドメニューはあえて素通りしてオリジナルメニューを手に取る」である。
思い出に浸っているとついにレジの順番が回ってきた。
「生餃子を3人前ください。あっ、あと、スタンプカード全部溜まってるんですけど、景品ってここで交換してもらえますか？」
言えなかった。「景品だけください」とは。
ついに景品を手に入れた。
◆スタンプ50個
「ぎょうざ倶楽部会員カード」と「250円(税込)割引券2枚」に加え、「餃子柄晴雨兼用折りたたみ傘(数量限定)」か「音声目覚まし時計(数量限定)」のいずれか1つ(数量限定)
のうちの、「音声目覚まし時計(数量限定)」を選んだ。
これが""倶楽部""の会員カードだ。お風呂上がりなので親指の絆創膏は外した。
これにより、おれは来年1年間24時間365日いつでも5%OFFの恩恵にあずかることができる。
これまでにペイした金額を40,000円だとすると、元を取るには来年1年間で800,000円分王将で飲食をすれば良いことになる。本当ですか？誰か王将に行く人がいたら教えてください。
ちなみに会員カードはスマホアプリと連携できる。しかし、アプリ連携するとカードのほうは使えなくなる。ただの飾りになるので要注意。
そしてこれが、「音声目覚まし時計(数量限定)」だ。
文字盤が数字ではなく「王将のメニュー」になっている。この時計を使って、子どもに「酢豚はおやつの時間！」「唐揚げはお風呂の時間！」「炒飯はねんねの時間だよ〜」って教えようと思います。
もし""世界の全部の時計""がこれだったとしたら、映画とかアニメの戦艦の戦闘シーンでよくある「3時の方向に敵艦隊確認！砲撃用意！」が「酢豚の方角に敵艦隊確認！砲撃用意！」になってたかもしれませんね。
当然、目覚まし時計なので音が出ます。
なんと、あの「モッチとパリー」が歌うデュエットソング、「二人の餃子」が流れます！
今回は特別に、実際に流れる音声を文字起こししてみます。
※ネタバレ注意！
パリー「誰でも焼ける〜♪おいしく焼ける〜♪餃子の王将の〜♪」
パリー「生（なま）」
モッチ「生（なま）」
パリー「生（なま）」
モッチ「生（なま）」
二人「生餃子〜♪」
二人「モチモチパリパリ〜♪パリパリモチモチ〜♪」
モッチ「餃子を食べて！」
パリー「今日も一日！」
二人「頑張ろう！餃子の王将♪」
音がめちゃくちゃデカくてうるさいので2回ぐらいしか鳴らしてません。子どもが起きてしまうので目覚まし時計としては使っていません。あと、文字盤が数字じゃなくて「王将のメニュー」になっているので時間がわかり辛いです。
誰か助けてください。
30歳手前の営業マンが転職活動を始めて感じた3つのこと。
・関西希望してるのに東京の求人がち
・今が転職のラストチャンスがち
・転職エージェントが紹介してくる求人、ベンチャー企業がち
・関西希望のおれに東京の求人を紹介しておいて「その後いかがですか」って言われても知らんわがち
・ベンチャー企業、金髪のエンジニア居がち
・そういう役員のツイッターアカウント、わりと有名な人にフォローされてがち
・ガチの金持ちがち
・ベンチャー企業を紹介してくる転職エージェントもリクルート系列がち
・そういう転職エージェント、おれの希望条件全然読んでながち
・転職活動が嫌になりがち
・転職エージェントの名前とかでSNS検索しがち
・実名＋顔出しでSNSやってがち
・若い女の子がち
・プロフィールを縦線とかスラッシュとかで細かく区切ってがち
・「HR領域」の意味わからながち
・経歴を詳細に書いてがち
・経歴が降順になってる人がたまにいてびっくりしがち
・PDCAがち
・何らかのリーダーになってがち
・引用ツイートで共感してがち
・「みなさん今日も一日がんばりましょう！」とかのツイートに50いいねがち
・出会いを大切にしてがち
・何の深みもないポエムが界隈でバズってがち
・PowerPointで資料を作るのはもう古いがち
・ITに疎い人をディスったツイートがウケがち
・人材業界盛り上がってがち
・同業同士で求職者転がしあってピンハネしてるだけちゃうんか？がち
・社員のSNS見てから社員ブログ読むと読み応え生まれがち
・社員ブログ読むのがちょっと楽しくなってきがち
・営業の男性、めっちゃ青いスーツがち
・社員紹介記事、社長のマインドに強く共感しがち
・社長、圧倒的カリスマがち
・社長、大学時代めちゃめちゃに遊んでがち
・口コミサイトで退職者に「入社前と入社後のギャップ」って書かれがち
・口コミサイトでは社長のマインド浸透してながち
・もっと口コミ見たいけど無料のアカウントではちょっとしか見れながち
・自分が口コミを書けばもっと見れるようになりがち
・そう考えると口コミサイト信用できながち
・自分で口コミ書くのは嫌がち
・口コミサイトに頼らない自分を正当化しがち
・口コミサイトで今勤めてる会社検索しがち
・ちょっと安心しがち
・やっぱりもうちょっと今の仕事続けてみるかと自分を納得させがち
・転職エージェントがまずはカジュアルにWEB面談を提案してきがち
・子供がいる2LDKの賃貸でのWEB面談ハードル高がち
・MacBookしかないから履歴書をWordかExcelで提出しろとか言われると割と面倒がち
・写真用意するのもっと面倒がち
・そんな奴がIT関連の会社に勤められるわけ無（な）がち
・転職活動が嫌になりがち
・自分が嫌になりがち
・平日9:00〜18:00で面談できる日、無（な）がち
・エージェントが東京なので対面の面談不可がち
・エージェントも勤務地も全部東京がち
・おれの希望条件をもっとちゃんと読めよがち
・転職活動が嫌になりがち
・最先端ビジネス界隈に馴染んでバリバリやってる人生を想像しがち
・いざ入ってみたら結構楽しいかもと想像しがち
・おれだって月に200万とか稼ぎたがち
・全く想像できながち
・無理がち
・新しいコミュニティに自分の居場所を作るエネルギー、もう無（な）がち
・転職活動が嫌になりがち
・自分が嫌になりがち
・どこで人生が分岐してしまったのか考えがち
・「学校のテストで良い点を取ることしか出来ない人生だった」みたいな方向に考えが向きがち
・人のことを小馬鹿にして笑っている間に一番何も無い人間になっているの、自分がち
・SNS全部消したくなりたがち
・人と交流することすべてが嫌になりがち
・もう一回「ツァラトゥストラ」読みたくなりがち
・辛（つら）がち
・自分が嫌になりがち
最後に、一番面白かった口コミを紹介して終わりにします。
石川啄木を感じさせる。
